正直、そのままここで押し倒したいと思った。
でも初めてのカナデにとても負担がかかるのはわかっていたし、
今までと違ってただ欲望の処理の為に抱くわけではない。

少しでも大事にしてやりたいと思った俺は、
そっとカナデを促して立たせ、手を引いて俺の部屋に向かった。


改めてベットに向かい合って座ると、
恥ずかしさからか俺と目をあわせようとしない。
その上ソファでの行為の名残で少し頬が紅潮している。
そんな表情に堪らなくなった俺は、
焦る気持ちを抑えつつカナデのTシャツをゆっくり脱がせ、
自分のTシャツもさっさと脱ぎ捨てると、
顔中にキスを落としながらカナデを押し倒した。
カナデは真っ赤になったまま俺から視線をそらし

「……やっぱり俺が下か……」

とボソッと言った。
俺がカナデに体重をかけないよう気をつけながら覆いかぶさり

「カナデが俺を抱く方がいい?」

と聞くと、チラッと俺の方を見てからまたプイっと視線をそらし

「ヒビキを抱くのは体力的に無理。
 でも、こんな事させるのヒビキだけなんだからな!」

と口を尖らせながら言う。
俺はカナデの決意をわかっていると伝える為に、
出来るだけ優しく髪を撫でてやる。

「怖い?」

俺がそう聞くと、不安そうではあったが、
それでもまっすぐ俺の目を見ながらきっぱり言った。

「ヒビキの事、信じてるから。」

……正直やられた〜、と思った。
初めてなんだし、その上受身の立場なら不安で当然だ。
実際身体が少し震えている。
なのにそれを見せまいと気丈に振舞う姿に俺は完璧ノックアウト
されてしまった。

「初めてだから、どうしても痛いのを我慢させる事になっちゃうけど、
 それでも絶対大事にするから。
 出来るだけ辛くしないように努力する。
 どうしてもダメなら途中で止めるし。
 ……カナデ、愛してる。
 カナデの全部、俺のモノだから……」

俺はそっとカナデの華奢な身体を抱きしめる。
同じ遺伝子でありながら、どうしてこうも違うのだろうと不思議に思う。
似てるのは顔と身長だけで、後は肉のつき方も性格も
何もかもが違う。

顔中にキスを落としてやると、先程までの熱が蘇ってきたのか
小さく身震いする。
カナデは目を閉じてじっと俺に身を任せたまま。
それを見ていると、心底優しく抱いてやりたい気持ちとは裏腹に
もう俺以外誰もその目に映さなくなるまで、
滅茶苦茶に抱いてしまいたい欲望にも駆られる。
でもここでカナデを怖がらすわけにはいかない。
なのでそんな欲望を何とか抑えつつ、
俺はカナデにキスをしながら右手で胸の飾りを弄ぶ。

「……ふ……んん」

カナデの口から声が漏れ始めると、俺は左耳の穴に舌を差し込む。

「や……ん……」

カナデが俺の首にしがみ付いて来る。
俺はゆっくり首筋を舐めながら徐々に下にさがっていく。

鎖骨まで来た時、俺はちょっと強めに吸い上げた。

「っ!」

驚いたように目を開くカナデに

「カナデは俺のだから。」

と言って軽くウインクしながら結構うまくついたキスマークを見せた。
カナデは赤くなりながらも

「じゃあ俺にもつけさせて!」

と言う。負けず嫌いなこの兄が愛しくて、俺は笑いながら了承した。

つけやすいように鎖骨の場所をその唇の前にさらすと、
そこじゃない、と言って俺の右耳の下に吸い付いた。

そんな所に付けたらタートルネックでも隠れないのに。

そう思って唖然としている俺を尻目に

「ヒビキが俺のモノだって言う印は、みんなに見えなきゃ
 意味ないでしょ?」

と得意げに言っている。
その顔を見て、ああそうだな、と思わず笑って抱きしめてしまう俺は
相当重症だ。
以前の俺はキスマークを付けた事も付けさせた事もない。
一応彼女と言う形ではあっても、俺には独占欲なんて欠片も
なかったし、ましてキスマークなんか付けられて我が物顔を
されるのはごめんだった。

我ながらなんという変わり様だろう。
でも、それも今は心地いい。
キスマークなんかいくら付けられたって構わないし、
そんな物がなくても俺はカナデのモノだ!と言って回ってもいい。

俺をメロメロにした兄に、夢中でキスを繰り返す。
それから下におり、右手で左胸の突起を優しくはさみ、
右胸の飾りを舌で転がした。

「んんっ!」

なおも声を抑えようとする兄の口に、
俺は左手の人差し指と中指を優しく挿し込む。

「声、出して。俺だけにカナデの感じてる声を聞かせて……」

俺は舌で突起を突付きながら、
既に硬く勃ち上がっているカナデのモノをハーフパンツの上から
握り込み、優しく上下に扱いてやった。

「やぁっ!」

反応しているそれを人に触られる事など生まれて初めてなのだろう。
必死で俺の手を離させようと両手がもがいている。

そっとカナデの顔を伺うと、興奮で紅潮していた頬を更に赤くさせ、
目にはうっすら涙が浮かんでいる。
ちょっと可哀想な気もするが、先に進む為にはしょうがない。
俺は一気にハーフパンツとトランクスを脱がせた。

「っ!」

羞恥でいっぱいのカナデはその身を縮こまらせ、
何とか隠そうと躍起になっている。

「……大丈夫。カナデ、俺に任せて。」

安心させるようにそう言って右手でやんわりと直に握ると、
ピクッと反応し、先端から透明な液が漏れてくる。
それを俺はゆっくりと舐め取った。

俺と同じ雄を示すその証。
でもちっとも気持ち悪くない。
むしろ俺との行為に興奮してくれているのがわかって、
俺の欲望に更に拍車をかける。
手で柔々と扱きながら先端を口で含み、くびれの部分に何度も舌を
這わせた。

「あ!ヒ、ヒビキ、ちょっと、ダメ!
 俺しばらく自分でもしてないから、もう……」

「いいよ、イッて。カナデの全部、俺のだって言ったろ?」

そう言って俺は扱くスピードをあげた。
口を窄めながら出来るだけ奥まで含み、
カナデの限界を感じ取ると共に先端を吸い上げる。

「ああああっ!」

一瞬仰け反って弛緩した後、全ての力が抜けたようにドサッとベットに
崩れ落ちた。

俺はさっと自分の下に穿いていた物を脱ぎ去ると、カナデの足を
割って間に入り、口で受け止めたカナデの興奮の証を右手に出して、
後ろの蕾に塗りつけながらカナデに口付けた。

「気持ち良かった?」

真っ赤な顔を自らの腕で隠している。

「……ヒビキのバカ……」

とそこまで言った時、俺の右手が何をしているのか気付いたのだろう。
顔を隠していた腕をはずし、焦った様に俺の右手を止めようとする。

「ちょっ!ヒビキ、そんなとこ触ったら汚いって!」

「ん?でも少しずつ慣らしていかないと。
出来るだけカナデが辛くないように。」

そう言って俺はまだ硬く閉じている蕾に指を1本差し込んだ。

「っ!」

「痛い?」

「っ痛くっないけど……変…な……感じ」

ゆっくりと抜き差しを繰り返しながら俺は愛撫を再開した。
徐々に興奮が戻ってきたカナデが少しずつ反応し始め、
指を2本、3本と増やしていく。
そろそろいいかなと思っていた時

「……これ…どうし…ても…しなきゃいけ……ない?」

潤んだ目で見上げられ、そう聞かれた。
俺は少し困った。
カナデが辛い思いをするのは確かに嫌だ。
でもそれ以上に俺はカナデと一つになりたいと望んでいる。

しばらく迷った俺は、右手はそのまま抜き差しを繰り返しつつ、
左手でカナデの右手をはちきれんばかりに勃ち上がっている俺自身に
導いた。
カナデはおっかなびっくりに俺自身を握り、一瞬息を呑む。

「……カナデ、わかるか?
 俺の心も体もカナデと一つになりたいって叫んでる。
 同じ男ならこの状態がどれだけ辛いかわかるだろ?
 ……でもカナデが嫌なら止める。
 無理強いはしたくないから、カナデがイイって言うまで俺は待つ。」

俺は静かにそう言った。
カナデと一つになりたい気持ちとカナデを傷付けたくない気持ち。
どっちも本心である事をわかって欲しかった。
カナデはちょっと迷っているようだったが、そのうち緩々と俺自身を
扱いてきた。

「……変な事言ってごめん。急に怖くなっちゃって。
 でももう大丈夫。俺はヒビキを信じるって決めたんだし。
 うまく出来るかは自信ないけど……」

すごくすごく嬉しかった。
でもそれを言葉でどう表したらいいのかわからなかった俺は
夢中でカナデにキスをする。

「痛かったら、ちゃんと言ってな?」

そう言って俺自身を扱いていた手を離させ、両足を俺の肩に
かけた後、右手を蕾から抜いて俺自身をゆっくりゆっくり
挿入していく。
カナデが息を詰めている。相当痛むのかもしれない。

……当たり前だ。普段は排泄器官で使う場所に無理やり
突っ込んでるんだから。

でもこのままじゃカナデも俺も辛いままだ。

「カナデ、カナデ、力抜いて。」

「そう……言っても……」

俺はカナデにキスをしながら右手でカナデ自身を扱きはじめた。

「……くっ……あ……」

力が抜ける一瞬一瞬を見ながらその隙に少しずつカナデの中に
入り込んでいく。
ようやく全て埋め終ったときには、俺の額からポタポタと汗が
流れ落ちていた。
何とか切れずに済んだようだ。

「……カナデ、全部入った。わかる?俺の全部、カナデの中……」

「入っ……た?……全部?」

「そう、全部。カナデの中、すっごく熱い。」

「やっと……ヒビキと一つになれた……」

そう言ってカナデは俺の背中をふわっと抱き寄せた。
俺より長いその前髪にそっと口付け、目尻に浮かんでいる涙を
唇で拭い取る。

「……もう、動いていいよ?」

カナデがちょっと恥ずかしそうに言った。
その言葉に勇気付けられるように俺は少しずつ動き出す。
初めは痛みに耐えているようにしか見えなかったカナデが、
ある場所を突いた時に

「あぁっ!」

と声を上げた。

「……ここがいいのか?」

そう言いながら何度も同じ箇所を攻め、それと同時に前も扱く。
動きの早くなった俺が、腰を打ちつける音がパンパンと響く。

「……んんっ……あっ!……ヒ…ビキ……も…う……ダメっ!」

「くっ……俺ももうダメだ……カナデ、一緒に……!」

「やああっ!」

カナデは自分の腹に白濁液を飛ばし、俺はカナデの中に全てを
注ぎこんだ……